過去のコラム(新総務考)

新総務考 その1

-はじめに-
これから、数回にわたり組織の中に於ける総務FM機能について、新たな視点で考えてみたいと思います。

世間一般、会社組織の中での「総務」イメージは「縁の下の力持ち」つまり、営業や企画・開発部門とは異なり、仕事の内容が本業を支えるサポート業務であり、目立つことの無い裏方仕事と見られがちです。

組織経営上で欠くべからざる業務であり、重要な経営基盤を支えているものの、組織規模により担当業務範囲もまちまちで、何をしているかよく分からないと言うのが多くの方々が抱いているイメージだと思います。

こうした「総務」イメージは長年に亘り日本の組織に定着していますが、1980年代の中頃から、米国で生まれた経営手法の一つである「ファシリティマネジメント(FM)」なる概念が日本に移入されました。

そして、1987年6月に、FM活動を一つの大きな柱に掲げたニューオフィス推進協議会(NOPA、1989年2月社団法人化)が発足し、同年11月には日本ファシリティマネジメント協会(JFMA、1996年9月社団法人化)が発足しました。

1987年11月に、FMの視点も導入した幅広い施設の維持保全の確立を目指す建築・設備維持保全推進協議会(LCA、1989年6月社団法人化し、BELCA)が発足したことによって、日本でのFM活動が始まりました。

然し乍ら、その後、四半世紀にわたる活動を続けているものの、「FM」というと建築・設備維持保全活動のイメージがあり、多くの経営者はFMの本質を十分認識できていないように思えます。

「総務」業務の設備・管財、営繕なる領域でも、「オフィスが在るのは当たり前」「快適に執務できるのは当たり前」「設備不具合で業務に支障がでるのは総務の怠慢」…..といった感覚の経営者も少なからずいる世の中ですから、「FM総務」の本質を、総務FM部門を担う現場からの発信により、経営者に対し如何に知らしめるかが問われている時代だと思います。

– 総務とFM&CRE –
経営の基盤を創り支える業務として「総務」と「ファシリティマネジメント(FM)」は類似性が多々ありますし、ほぼ同意に使われる事もあります。

また、広義のFMに包含してCRE(企業不動産)のジャンルを位置付ける場合や、CREは独立して捉える事もあります。

おそらく、「総務」に対する社会意識が曖昧で「下働き」や「裏方」的なイメージがある一方、「ファシリティマネジメント」の響きは、米国から移入さた”カタカナコンセプト”であるスマート感と、基盤業務に加えより高度な「経営」的イメージをアピールできるので、JFMAでもファシリティマネジメント(FM)として普及活動をされているのではないかと推察します。

また、Core-NetはCREを専門領域としてFMとは一線を画したグローバルな活動を行っています。

然し乍ら、日本ではFM&CREコンセプトもまだまだ一般化されている訳ではなく、メディアに取り上げられる頻度も限定的であり、経営者層の認識も十分ではありません。

FM業務に携わっている全てのステークホルダーが、これからもFM(含CRE)普及に積極的に関与してゆく事が望まれます。

私見ではありますが、私は 総務 ⊇ FM ⊇ CREと認識しています。

つまり、CREは広義のFMに包含され、広義の「FM」とされる業務は「総務」に包含されていると考えています。

総務業務を便宜的に、「オペレーション総務 / 管理総務」と「戦略総務」に分類して定義します。(其々の内容については今後解説してゆきます)

FM&CREの業務領域を以下のように捉えてみたいと思います。

「オペレーション総務 / 管理総務」
→ 建築、不動産・設備維持管理、管財、営繕…etc
「戦略総務」
→ マネジメント、企業不動産戦略、オフィス生産性向上戦略、コスト戦略…etcといったイメージす。

勿論、総務は、上記に加え、渉外業務、株主総会、CSR、そして組織規模によっては人事、法務等を管轄する事もあります。
(だから、「総務」の仕事はよく解らない…となってしまうのでしょうね。
総務の英訳「General Affairs department」て何の事か分かりませんよね!)

私は、上記した総務仕事の領域に加え、より戦略的で経営のコアな領域とも言える以下の業務ジャンルを「総務」が担うべきと考えています。

総務 ⊇ コミュニケーションマネジメント
総務 ⊇ ICTを活用したUC戦略
総務 ⊇ 組織プロデュース
総務 ⊇ インナーブランディング
総務 ⊇ 人心経営

これらの領域を総称し「場創り」と呼んでいます。

新総務考の主軸となるテーマは、「場」の創造です。

オペレーション総務、管理総務、戦略総務、そしてこれらをベースに「革新総務」の実践をお話してゆきます。

新総務考その2 コア業務とノンコア業務

総務はノンコア?

マネジメント指南書や経営コンサルタントの多くは、組織の定義を本業分野である「コア・コンピュタンス業務(コア)」、そして支援業務分野である「ノン・コアコンピュタンス業務(ノンコア)」という分類を行い、企業経営の要諦は「コア・コンピュタンス」業務への集中を強調します。

企業内の見方で表現すれば、売上貢献している「プロフィットセンター」=コア業務、売上貢献が無く(とされている)経費を使う「コストセンター」=ノンコア業務、といった分類がされています。

総務FM部門を始めとした「管理部門」の業務の多くは「ノンコア業務」のカテゴリーに定義され、あたかも収益貢献をしていない「コストセンター」的な扱いを受けています。

企業活動を円滑に行うには、ルーティーン仕事や機械的な処理業務などの領域を含めた「基盤」業務をしっかり構築しておく事が不可欠ですが、これら業務自体は直接的な利益を生まない「コスト」つまり、利益を創出する為の費用→経費として認識されています。

この点は論を待たないところですが、斯かる業務を担う部門そのものが「コスト」と見做されてしまう誤解が「コストセンター」なる概念と呼称を一般化せしめている原因となっています。

経営者の中には、自社のコア・コンピュタンスを、収益部門だけに目を向けて『フロント部門こそが全ての利益を生み出す「プロフィットセンター」』なる思い違いをしている場合がかなりあるのではないかと感じています。

フロント部門が、利益を生みだしてゆく為には、収益創造の根源にある社員個々の「知」や行動力、創造力、革新力を会社力に変えてゆく触媒機能を果たす部門にも目を向け、その力や業務もコア・コンピュタンスとして考えてゆくべきではないでしょうか。

収益貢献機能を果たす支援部門の本質的価値を理解する事が重要だと思います。

私は、こうした観点から総務FM業務は「準コア業務」と考えています。

総務業務は範囲が広く、多岐にわたる企業活動の基盤仕事を抱えており、ルーティーン仕事も多々あります。

それ故「総務はノンコア」と言い切る事にはいささか違和感を感じますし、総務業務の本質を理解してもらう必要がある、と強く思っています。

言わずもがなですが、「経営」はコア中のコア業務(業務という表現はあまり適切ではありませんが…)です。

経営の本質は、最適な事業ポートフォリオを構築して、変化に柔軟な企業体質を創り上げる事であり、それを実現させるには、組織活力を向上してコア業務領域の生産性並びに収益力を高めてゆくことが重要です。

「組織活力の向上」なるスローガンはよく目にしますが、誰がどのようにして

実践してゆくかが極めて曖昧です。

私は、この領域こそ総務部門が果たす戦略機能の一つであり、正にコア中のコア業務だと思っています。

具体的な話は次回以降に述べてゆきますが、総務はコア業務をも担う側面があることから「準コア」と定義したいと思います。

新総務考その3 イノベーションのジレンマ!

総務がイノベーション?

「そんな事出来る訳ないでしょ」
といわれそうですが、私は、総務部門発の「イノベーション」もあると思っています。

イノベーションの定義を今一度確認してみましょう。(以下はWikipediaから抜粋)

『イノベーション(英: innovation)とは、物事の「新結合」「新機軸」「新しい切り口」「新しい捉え方」「新しい活用法」(を創造する行為)のこと。一般には新しい技術の発明を指すと誤解されているが、それだけでなく新しいアイデアから社会的意義のある新たな価値を創造し、社会的に大きな変化をもたらす自発的な人・組織・社会の幅広い変革を意味する。つまり、それまでのモノ・仕組みなどに対して全く新しい技術や考え方を取り入れて新たな価値を生み出して社会的に大きな変化を起こすことを指す。

新しい考え方やアイデアから、新たな価値創造する事がイノベーションなのです。

総務の主業務は、設備・営繕、管財、庶務、不動産管理運営、購買、株主総会、渉外等(各社まちまちですよね) ですが、新たな価値を生み出す『知識経営に於ける「場」のプロデュース』といった切り口は新しい考え方であり、企業風土・文化の革新的創造を演出する機能、これも一つの総務「イノベーション」たるものと私は考えています。

クリエイティブ・ワークプレイス・プロデューサー兼ナレッジ・プロデューサーたる総務部門のミッションは、組織の風通しを良くするオフィス環境の創造により、社員一人ひとりが遺憾なく能力を発揮できる「場」を構築し、企業風土を変革し、結果、会社力とその会社の企業価値を最大化する事にあります。

もちろん総務は事業のフロント部門ではありませんが、ミドル・バックオフィス部門として、知識経営エンジンの馬力向上に貢献出来ると確信しています。

こうしたミッションは、正に会社力を高めるコア・コンピュタンス業務です。

然し乍ら、大きな問題が存在しています。

それは、日本の企業、中でも保守本流の歴史ある伝統的企業に見られる傾向ですが、総務部門が「イノベーション」なる取組みをしようとしても、上長や他部門から「余計な事をするな!」となってしまう問題です。

組織規程で定められている総務業務分掌に「革新的業務」なるものがないからでしょうか!

こうした話はよく聞きますし、私も経験者です。

まあ、総務は、上述した主業務を粛々と行ない、コスト削減や業務効率化等で貢献する事が使命、と思っている経営層や総務部長がまだまだ多いのが現実かもしれませんね。

事なかれ仕事は楽ですし無難ですが、会社が変革を求められている局面では、誰かが行動してゆかねばなりません。

私自身ジレンマもありますが、組織の中での立ち回り方に配慮しながら、総務部門が組織のオーガナイザー兼コーディネーターとして貢献すれば、イノベーションを起こす事も可能だと思っています。

要すればやり方次第です。

(具体的な取り組み方は次回に)

This is my building! 私の信条です。

新総務考その4 総務は組織の体温計!

組織は生き物です。

組織の健康管理バロメーターの一つは「組織の体温」変化を知る事が大切です。

「組織の体温」とは、組織を担っている社員、役職員一人ひとりの「想い」や「情熱」のレベルであり、責任に応じたヒエラルキーと職種の違いにより、それらの内容や質は多様です。

総務部門が担う業務分野の一つであるファシリティ仕事は、現場に足を運び、ユーザーたる経営トップからフレッシャーズに至る、あらゆる階層の役職員や社員(契約形態に関係なく)の要望や声を聞きながら最適な執務環境と「場」の提供を行っています。

全社横断的に現場に出向き、ユーザーと直接対話する機会はどの他部門より多いと思います。

こうした現場の「想い」や「声」時には「不満」…..そして信頼関係が築けると「本音」が聞こえるようになります。

組織運営に於いて、タウンホールミーティングでの経営メッセージや人事面談、職場単位のコミュニケーションは「組織の体温」を安定維持させ、社員意識を鼓舞してゆく重要手段ではありますが、社員の本音ベース(公式的なものばかりではないので取扱は配慮が求められますが)

での温度感を認識する事も大切です。

社員の様々な想いと本音を経営層が知る事はなかなか難しいものです。

総務部門は「経営の想い」と「現場社員の想い」の温度差が見えるが故に、ギャップ修正機能を業務として位置付けられるべきと考えています。

「組織の体温計」として組織基盤を支える業務、これも目立つ仕事ではありませんが、重要なコア業務です。

新総務考その5 インソーシングの勧め

総務FMサービスのアウトソーシングはよく聞く話ですが、インソーシングは余り聞くことがありません。

ノンコア業務は其々の領域でプロフェッショナルな専門会社に任せてコア・コンピュタンス業務に集中すれば、企業の価値創造力は向上する…のでしょうか。

企業活動の中で新たな価値を創造するには「組織知」つまり、其々の専門分野の「個人知」の集合知ですが、この「個人知」を有機的に結合させて組織の知力にを促進させる装置と舞台、そしてそれを運営する司令塔が必要です。

コア業務を集中させ、優秀な人材を投入し競わせさえすれば、魔法のごとくイノベーションが量産される…ものではありません。

組織には主体性のある「あそび」が必要です。言い換えれば「決められた仕事範囲を越えた仕事」とでも表現しておきましょう。組織風土や組織特性を肌身で感じ、私利私欲のない「志し」で組織変革に情熱を傾ける仕事はインハウススタッフにしかできません。

組織をコア業務に特化させ過ぎて、ノンコア業務はアウトソーシングという名の下にSLAで業際を囲い込み「委託業務(勿論、その中でのプロ仕事は期待できますが)」にしてしまう事は、ある領域をブラックボックス化してしまうと共に組織の動脈硬化を招きかねません。

アウトソーシングが悪い訳ではありません。「餅は餅屋」が合理的ですし、何から何までインハウスで行う非効率さは自明の理です。

然し乍ら、アウトソーシング会社にはインハウスの内部事情を知ることはできませんし、組織にとって主体性のある「あそび」を創り出す事もできません。

それは、業務委託契約やSLAにはそのような事を業務として想定していないからです。

「決められた仕事範囲を越えた仕事」を行ってゆくには、アウトソーシングした業務を今一度インソーシングする事も有効です。

インハウス側でなくてはできない付加価値創造業務を総務部門は担っているのです。

新総務考その6 コーポレートサービス総務

組織経営に不可欠な「コーポレートサービス」の考え方は、其々の企業により異なります。

コア業務を支援する機能部門は、其々の専門分野においてプロフェッショナルサービスを提供しています。

法務・知財、IT、広報、経理、税務、財務等の部門は、専門性が認知されており、業務内容も明確になっています。

一方、生活支援やルーティーン業務を行う総務人事部門は守備範囲が広く、また、裏方仕事が多い事もあり、仕事の価値を理解し難い部門です。

いずれも不可欠な業務ですが「生活支援」と認識されているコーポレートサービスは、専門機能部に比べアウトソーシング比率が高くなる傾向があります。

ノンコア業務は専門会社や専業会社に業務委託して、直接雇用者の人数を減らして効率化してゆく経営戦略です。

理由は色々とあるでしょうが、経営者が生活支援領域のコーポレートサービスを「コストセンター」として、位置付けている場合の企業の想い(本音)は以下の様なものではないでしょうか。

・人材をコア事業へ集中させる

・人件費圧縮(業務委託費は非人件費)

・インハウスで3K仕事を回避

・低付加価値業務への人材投資を回避

・誰でも出来る仕事は低コストで!

一方、経営者が社員教育や社員へのサービス機能に重きを置いている企業の場合、「生活支援コーポレートサービス」を、敢えて社員にやらせる価値を見出しています。それは、

・社会人としての基本教育場

・下積みで人間力を鍛える

・組織現場の知ることの価値

・無価値の仕事など無いとの教育

・IQの高い優秀社員に謙虚さを学ばせる

・経営基盤とは何かを体験させる

・頭を下げる事を学ぶ

・自尊心管理術を学ぶ→抵抗力と回復力

・人材の総合人間教育の現場と位置付け

といった社員教育の錬成道場として、ジョブローテーションを介し総務業務を経験させて組織を強くしようとする試みです。

適性と意欲のある人材は、総務プロフェッショナルとして組織貢献してゆくことになり、次の世代を育てる役目を担います。

何れのやり方にも「これが正解」というものはありません。

要は、コーポレートサービスに従事している社員を含め、企業の社員力、組織力、会社力を最大化してゆく為に如何に行動してゆくかが重要だと思います。

新総務考 その7 これからの総務FM部門の役割

JFMA FORUM 2015で「戦略総務」について、私の考えを紹介させて頂きました。そのエッセンスをお伝えします。

これからの総務FM人は、現場力、知力、実行力そして人間力を兼ね備えたナレッジ・オフィサーとして、幅広い知識と知恵・アイデア力を活かし、知識創造型経営の中枢を担うナレッジ・プラットフォームである「場」をプロデュースし企業内貢献そして社会貢献を果たしてゆく事が求められています。

総務FM人は、謂わば、知識経営を支えるナレッジ・プロデューサーであり、組織の風通しを良くし風土変革にも資するオフィス空間とコミュニケーション環境を構築し、社員一人ひとりの潜在能力を最大限発揮できる「場」を演出してゆくミッション、つまり、組織におけるナレッジワーカーの知的創造活動を支援し、彼らが社会的意義のある新たな価値を創造してゆく“イノベーション”の誘発・触発を促す「場」を緻密且つ戦略的に創り上げてゆく職務です。

また、知識経営を担うナレッジワーカーが、日々、元気に活き活きと仕事に集中し、働く喜びを感じられる職場創りに貢献することも総務FM部門の重要ミッションです。

総務FM部門は、人・組織・社会の変革を促すインナーブランディングを推進し、新たな社会価値を生みだすことができる“イノベーター”なのです。

このような戦略総務への挑戦は、組織の風土に革新的な風を吹かせ、社員力を一段と高めると共に企業価値の向上に寄与し、企業文化を創り上げてゆく取組でもあります。

総務FMのミッション定義を広げ、我々の仕事の貢献価値を社会に再認識してもらう事も重要です。

新総務考 その8 インソーシングの勧め

総務FMサービスのアウトソーシングはよく聞く話ですが、インソーシングは余り聞くことがありません。

ノンコア業務は其々の領域でプロフェッショナルな専門会社に任せてコア・コンピュタンス業務に集中すれば、企業の価値創造力は向上する…のでしょうか。
企業活動の中で新たな価値を創造するには「組織知」つまり、其々の専門分野の「個人知」の集合知ですが、この「個人知」を有機的に結合させて組織の知力にを促進させる装置と舞台、そしてそれを運営する司令塔が必要です。

コア業務を集中させ、優秀な人材を投入し競わせさえすれば、魔法のごとくイノベーションが量産される…ものではありません。
組織には主体性のある「あそび」が必要です。言い換えれば「決められた仕事範囲を越えた仕事」とでも表現しておきましょう。組織風土や組織特性を肌身で感じ、私利私欲のない「志し」で組織変革に情熱を傾ける仕事はインハウススタッフにしかできません。

組織をコア業務に特化させ過ぎて、ノンコア業務はアウトソーシングという名の下にSLAで業際を囲い込み「委託業務(勿論、その中でのプロ仕事は期待できますが)」にしてしまう事は、ある領域をブラックボックス化してしまうと共に組織の動脈硬化を招きかねません。

アウトソーシングが悪い訳ではありません。「餅は餅屋」が合理的ですし、何から何までインハウスで行う非効率さは自明の理です。
然し乍ら、アウトソーシング会社にはインハウスの内部事情を知ることはできませんし、組織にとって主体性のある「あそび」を創り出す事も できません。
それは、業務委託契約やSLAにはそのような事を業務として想定していないからです。

「決められた仕事範囲を越えた仕事」を行ってゆくには、アウトソーシングした業務を今一度インソーシングする事も有効です。
インハウス側でなくてはできない付加価値創造業務を総務部門は担っているのです。

新総務考 その9 社員力革命

社員力を劇的に向上させ、活気ある組織を創る秘訣は、社員が自立的に、自らのやる気を高め、働く喜びと生きる充実感を感じながら仕事ができるようにする事です。

社員力の原動力は「喜働」にあります。
仕事のやり甲斐、達成感、感動を呼び起こす貢献そして心の情動を刺激し、生きる喜びを感じながら、進んで喜んで働く事です。

倫理の教えである「明朗・愛和・喜働」は、人が組織社会で前向きに生きてゆく為の精神基盤の一つです。

自己に厳しく、倫理感を持ち、前向きに明るく生きる覚悟と他者への思いやりを忘れずに楽しんで働く!
そうすれば、自ずと人間力が高まり、組織における個の総体力が高まります。

組織に於いて社員力を高める秘訣には二つのポイントがあると思います。

まず第一に、社員一人ひとりの潜在力を顕現化させる「場」のパワーを再認識する事です。

つまり社員が自発的に、且つ喜んで働ける「場」、働く喜びが自分自身の感動を呼び起こす「場」、その感動が幸福感をもたらす「場」の力が社員の潜在を引き出します。

二つ目のポイントは、同じ組織で働く全ての人達が、相互信頼と尊敬の念を忘れず「同志」意識を感じられる「風土」を創りだす事です。

総務FM部門は、場創りのみならず、人創りを念頭に置いて、質の高い組織を、そして創造的な企業風土を創り出す使命を担っています。

社員力が高まれば、自然に組織力も高まってきます。
組織力の原動力は「コミュニケーション力」です。
篭り切りの蛸壺型組織は、ワーカー相互の会話も少なく、場の雰囲気が閉塞してしまいます。
これでは、十分な組織知を活用する事もできず組織力はあがりません。

協働型でクロスファンクショナルな組織は、ワーカー同士の会話が活発に行われ、組織知を共有しイノベーションを誘発する機会が膨らみます。

組織力を強くするには、職場でのコミュニケーション機会を増やし、ワーカー相互の絆を強くし、ワイガヤ体質で情報の風通しが良い環境創りが大切です。
と同時に、ワーカーのワークスタイルの変革、簡単に言えば、気持ちと時間に”あそび”を入れた チェンジワーキング(ゆとりを持った働き方)が重要なポイントとなります。

誰でも自分の仕事に没頭し、がむしゃらに猛進する事ってありますよね。
でも、ずっとこの状態でいるのは疲れてしまいます。リフレッシュしないと脳が疲れきってしまいます。

リフレッシュがてら、机を離れて社内を歩き回ってみましょう。
ぶらぶらウォークしていると、同期生にばったり会ったりして会話が生まれたりします。
このような行動は、サボリではありません。スモーカーが喫煙所で一服するのと同じです。
上司やチームメンバーは寛容でなければなりません。
「あいつは、何時も仕事もせずにぶらぶらしてけしからん」などとは絶対に言ってはいけません。
いっぺんに組織は硬直してしまいます。
成果を見てあげれば良いのです。

集中とリラックスのバランスを考え、周りを見ながら仕事すれば、自然にコミュニケーションが沸き起こってきます。そして組織力は高まってきます!

全てのスタートは、社員の意識変革からはじまります。

社員が持つパワーをどれだけ引き出せるかで、会社力が決定付けられます。

経営者は、事業をマネジメントするのではありません。働く人達の人生や想いをマネジメントする事で、事業を推進し企業価値を向上させます。

総務FM部門は、社員力を高める為に「場」という社会環境創りに尽力すると共に、組織風土の変革に貢献してゆくミッションを担っています。

活気ある組織は社員が元気です。
社員が元気でやる気が漲る組織は、クリエイティブで革新的な風土=カルチャーを創りあげます。

『環境(場)が変われば意識が変わる。
意識が変われば行動が変わる。
行動が変われば習慣が変わる。
習慣が変われば風土が変わる』

総務FM人の一人として、FOSCの活動を通じ日本企業の力を一段と高めてゆく取組みに邁進したいと思います。

新総務考 その10 【経営総務】戦略総務から革新総務へ

世間一般的には、「総務」とは『組織全体に関する事務を扱う業務、或いは職務のこと』
また、「事務」とは、『主に役所や会社などの場で、書類の作成や整理 などを行う作業全般と、これを専門に行う職業』とされており、行政や大企業では、政治的・経営企画的判断を伴わない業務、つまり上層部の決定に従った実務全般を指して俗に「事務」と呼ばれる事があります。

総務は、組織全体の雑務を担う事務屋といったイメージがあるのではないでしょうか。
私の個人的な想いではありますが、これからの総務(FM)人は、従来型の「総務」イメージや既成概念を打ち破り、幅広い知識と知恵・アイデア、そして現場力を兼ね備えたナレッジ・アクティビストとして、社会的意義のある新たな価値を創造し、社会的に大きな変化をもたらすイノベーターを目指すべきと考えています。
総務業務には、組織基盤の構築・維持管理、安定的運用、コスト統制、経営支援と幅広いミッションがあります。
総務(FM)業務に携わる人=「総務部員」は、「オペレーション総務」を経験する事で実務力を身につけ、「管理総務」の経験により業務基盤の仕組みを理解し、そして経営支援に繋がる「戦略総務」の領域に挑戦してゆくことになります。
「戦略総務」の実践により総務(FM)のイノベーション力が高まり、素晴らしい成果を上げる機会が生まれてきます。
総務(FM)部門は、組織の風通しを良くするオフィス環境の創造により、社員一人ひとりが遺憾なく能力を発揮できる「場」を構築し、結果、会社力とその会社の企業価値を最大化する事が出来るのです。
総務は、単なる「雑務を担う事務屋」ではなく、組織を元気にする「戦略総務」そして風土を変える「革新総務」へと経営総務への過渡期にあります。

新総務考 その11 社食空間のプロデュース

オフィス投資指標の研究の一環で、オフィス内の生活空間の一つである「社員食堂」の価値を考察してみます。

社食食堂の運営は給食業者に任せきり!という話をよく耳にします。
利用する社員の社食イメージは、安い、不味い、忙しない….とあまり良いイメージではありません。
会社業績が厳しくなれば、真っ先にコスト削減対象となります
社食を従業員への食の提供(腹を満たす)だけに使っているのは実に勿体無い話です。
企業規模にもよりますが、社食スペースは相当な広さと空間を使い、設備投資額もかなりな額になります。
社食空間への投資価値を向上させて、ナレッジ空間に変貌させる空間イノベーション!

社食は「給食施設」といった既成概念を捨て、「社員の創造的潜在能力を誘発させる空間」と再定義。
クリエイティブエンタテイメント手法を取り入れた社食空間のプロデュースにより、ナレッジアーチスト達の元気度が向上し、社食空間が知識創造の場としての新たな空間価値を産み出します。

当社では、社食をラウンジ(Lounge Communication Cafe )の愛称で呼んでいます。
厨房面積も狭く、席数は在館社員数の10%程度しかありません。
この空間設計にあたり、以下のコンセプト設定をしました。

『社員のモティベーションを高め、企業業績の向上に貢献出来る価値のある空間「場」とする。
空間価値を最大化してゆくためには、ラウンジ の「場」が、社員に無意識のうちに心地良さとワクワク感を感じてもらいながら、社員の健康維持増進に役立ち、社員が担っている業務の円滑化と推進に役立つ知識・アイデア創造の場所と体感してもらう。』

プロデュースにあたり拘ったポイントは

1.「場」の雰囲気へのこだわり
2. 食と味へのこだわり
3. 運営キャストへのこだわり
4. 社食空間価値の効果測定と運営収支
5. 社内営業とイベント企画

1.「場」の雰囲気へのこだわり
ラウンジは、人間の五感(見る、聞く、触る、嗅ぐ、味わう)に心地良さを与えられる空気感、雰囲気造りへのこだわりが大切です。
人は、自分自身が体感する空気感や雰囲気で、その場の心地良さや違和感を感じます。第一印象で「いいね」と感じてもらえる演出が必要です。
具体的には、
・気持ちの良い空間の広がり
・窓越しの景観
・お洒落で機能美を兼ね備えたテーブルや椅子、ソファなどの家具類のデザインと上質なマテリアル感
・空間の色彩バランス(壁面、家具、床、調度品等の色合いと調和)
・照明方式とライティング技法
・リラックスできるBGMと空間の香り
・美味しい食べ物
・運営キャスト
といったものです。
人間の感性に訴え、快適で心和む雰囲気を醸しだす仕掛けを創りだすことが不可欠です。

2. 食と味へのこだわり
美味しい食べ物は誰もが喜ぶアイテムです。
ラウンジの利用時間は、朝から夜まで(8:30 – 20:30)としていますが、ランチ時や夜の会には、懐石料理やフレンチが食べられる社食、寿司カウンターで本格的な握り寿司が食べられる社食、一流ブランドシェフの料理や行列のできる人気店の料理が楽しめる社食など、常識的には考えられないコンセプトで食の場をプロデュースする挑戦が大切です。(当社では不定期ですがブランドシェフとのコラボイベントとしてスペシャルメニューを提供しています)

もちろん、通常はカレー、ラーメン、丼や定食といった手軽で安く食べれる定番メニューを揃えながらの事ではありますが。

また、ランチ時以外の時間帯には、香り高いコーヒーや軽食を提供し、あたかもスターバックスでリラックスしているような気分で仕事が捗る 場創りをしています。

3.運営キャストのこだわり
ラウンジ内の厨房やカウンターで給食サービスを提供している方たちは、社食空間演出上大切なキャストです。

良い事例があります。ディズニーリゾートで働くスタッフはキャストと呼ばれ、どのような職務であれ(例えば清掃係りとか)お客様へのホスピタリティマインドを持ったエンターテイナーです。彼らは、おもてなしの心でお客様を夢の世界にお招きするパフォーマーなのです。

社食で給食サービスを提供してくれる方たちには、社食という場で利用者である社員を楽しませてくれ、また元気を与えてくれるホスピタリアンとしての役割を担っています。

彼らの笑顔とさりげない声かけは、利用者にとって気持ち良く食事を楽しめる雰囲気作りに効果的です。

キャストのチーム構成は、給食業務を委託会社の専管事項ですが、委託する側からの要望を伝えながらチームメンバーを選定してもらう事は可能です。

4. 社食空間価値の効果測定と運営収支
ラウンジは、社員間のコミュニケーションハブとして有用ですが、一方、経営(会社)側からの視点では、設置コストや運営コストが組織活性化や社員のモティベーション向上により会社業績の貢献に見合うのかを計測する必要があります。

然し乍ら、このような計測は見える化が難しく、投資・運営効果を経営側に理解してもらう為には仮説設定したベンチマーキング比較や利用者からの評価を考慮した評価基準を作らねばなりません。

通常、社食運営は委託会社に、フルターンキー方式でオペレーションを任せます。つまり、厨房設備、機器類の初期投資並びにメンテナンス費用と場所コストは会社側が負担し、給食サービスの運営を委託会社が担う方式です。

委託会社にとっては、社員の社食利用率が高くなれば、売上も伸び利益を上げることができます。委託会社に適正利潤を確保してもらい、安定した採算の見込める事業にしてゆくことが重要です。

安定した採算性運営ができてくると、初期投資した設備費や運営費用の圧縮や回収機会も生まれてきます。
社食運営を所管している総務部は、委託会社と一体的に事業運営に深く関わる事が求められます。言わば、総務部は「社内社食事業の経営者」なのです。

5. 社内営業とイベント企画
ラウンジの利用率を上げる為には「社内営業」が欠かせません。
ランチ時の利用だけでなく、朝食時や夜のイベント、また週末の社外イベントや社員家族を招待するファミリーイベント、プロジェクトの打ち上げ慰労会、チーム懇親親睦会、ネットワーキングイベントなどの情報を集めながら、関係者に企画提案し、イベント等の開催につなげてゆく企画営業力も必要でしょう。

こうした活動は、委託会社の収益貢献に資することにくわえ、何よりも社員間の親睦やコミュニケーション促進、更には社員の会社への愛着を意識させるインナーブランディングにもつなげられます。

以上の取組を3年続けてきた結果、ラウンジは社員、会社にとって有益な空間となっています。

新総務考 その12 組織社会の人間関係とインナーブランディング

社会生活を円滑にするには、良好な人間関係を築く事が不可欠です。

然し乍ら、人との付き合いはなかなか厄介な事もあります。
特に、会社での人間関係は難しいものです。

当たり前ですが、会社は仲良しクラブではありません。
組織で働くワーカーは、働く目的を明確にし、定めた目標を達成すべく組織を活用しながら自分自身のミッションを完遂し成果をあげることだけが、会社から求められていることです。

そこで、仲のよい親友を見つけるとか、公私でつき合っていく人をつくりたい、と考えることは目的に沿っていません。(まぁ例外もありますが….)

ずっと仕事をしていくうちに親友になった、などということはあるかもしれませんが、それは結果であって、それがために会社に勤務しているわけではありません。
仲良くなりたい、親友になりたいと考えると、なかなか思い通りにいきませんから、悩みが多くなってしまいます。
と言ってしまうと、少し寂しい気持ちになりますが、社会組織でプロとして生きてゆく基本原則である事は否定できません。

会社という社会では、様々な個性が同居しており、価値観の差やワークスタイルの違いから、人間関係に苦労したりメンタルに影響がでるケースも少なくありません。

会社において同僚や上司、部下との付き合い方には、会社其々の伝統というか社風があるように思います。

どの組織でも部門長の個性に依るところが大ですが、部内で呑みニュケーションが頻繁に行われている部署もあれば、仕事以外はドライな関係としている部署もあるでしょう。

経営が、組織風土を改革しようとしている場合や、組織の一体感を創りたいと考えている場合、部門長を始めとしたマネジャーは、オフサイトコミュニケーション(呑みニュケーションなど)の有効性を認識する事が必要です。
仕事時間では見えない部員の個性や考え方を知る事ができ、上司部下の人間関係を良好にし、目標達成に向けた仕事の連帯感を強める事もできます。
組織社会における人間関係を上手にする秘訣は、自分自身の「コミュニケーション力」を高める事が大切ですが、もっと効果的な術があります。
それは、「インナーブランディング」と言われるものです。

コミュニケーション環境や基盤、そして何よりも企業風土や文化を創り、またより良く変革してゆく取り組みです。

自分が働く組織で、社員または職場の同僚・仲間同士お互いの共通項を意識(愛社精神もその一つです) 出来れば、自ずと良好な人間関係を築けるきっかけになる筈です。

 

私は、総務部門が「インナーブランディング」推進のオーガナイザーとなり、組織における良好な人間関係構築(要は組織力です)に貢献すべきと考えています。

新総務考 その13インナーブランディングの取組

「インナーブランディング」とは、組織における社員、役職員一人一人の心のバリヤーや他人感を緩和させて、組織、チームの連帯感を高め、仕事へのやる気や組織の求心力を向上させる取り組みです。

インナーブランディングの基盤は、組織内コミュニケーションの活性化です。
その為にはコミュニケーション誘発の仕掛けを考えなくてはなりません。
まずは組織での社員、役職員同士の人間関係を考えてみましょう。

前回も述べましたが、会社等組織は仲良しクラブではありません。
仕事、ミッションを遂行するという目的をもった集団で、社員、役職員は知的労働資本を提供し、それによる価値創造と貢献に対し報酬をもらっているわけです。
社員、役職員同士は、たまたま同じ時期に、同じ職場で働くことになった「他人」であり、仕事を通じ、結果的に同僚、仲間(時として友達や親友となる事もありますが)としての意識が醸成されてきます。
会社等組織では目標をベースとしたコミュニケーションが求められます。
職場では、「仕事の遂行」といった目標をベースとしたコミュニケーションを活性化し成果をあげなくてはなりません。

然し乍ら、元々「他人」である社員同士が、いきなり理想通りの仕事コミュニケーションを取れと言っても簡単ではありません。

人には他者を寄せ付けない「自己領域」がありますが、趣味や話題に話の合う集団、利害理念が一致する職業的な集団、恋人や夫婦あるいは本能的な欲望や快感といった自己領域を共有する事が出来る(と思い込める)他者に対しては、自己領域の境界が薄れ、心を通じ合わせたり信頼感が生まれてきます。
組織内コミュニケーションを誘発する仕掛けは、分煙喫煙所での「たばこコミュニティ」にヒントがあります。

世の中、オフィスでの禁煙や分煙が当たり前の時代、喫煙者にとっては不便な時代となりましたが喫煙者同士のコミュニティでは、部門やヒエラルキーを越えたスモーカーズコミュニケーションが存在します。

当社でも喫煙室を設けていますが、喫煙者からの話しは結構面白い情報が聞けたりします。

「スモーカーズ コミュニケーション」の利点は、自然体で他部署の人とのコミュニケーションができる事です。
部署が違うと、業務上の接点は少なくなりますが、「一服」しに来るスモーカーは、様々な部署の人が集まり、顔見知りとなった者同士の何気無い雑談が、その後の仕事に必要なコミュニケーションをとり易くします。

また、会社の上層部である「偉い人」と話す機会が生まれます。
通常、組織のヒエラルキーの中では、偉い人と新入社員とは1対1で話す雑談する機会はあまり無い事ですが、互いにスモーカーであれば、喫煙仲間としてコミュニケーションができ、自分を知って貰えるチャンスにもなります。

 

職場内のスモーカーズコミュニティは、煙草という嗜好品を介して、社員間の他者意識が緩和され、結果、コミュニケーションが誘発されます。たばこがコミュニケーション誘発の触媒となっていると言えます。
このように他者意識を緩和し「触媒」となり得る仕掛け作りにより、職場での連帯感や社員間での仲間意識を醸成させる事ができます。
具体的な仕掛けの一部を紹介します。

1.ファミリーデー(家族と会社の絆を深めるイベント)開催

2.社内施設(カフェテリアや社員食堂)を活用した全社員対象のフリーフーズ&ドリンクデーの開催

3.会社内の部門対抗イベント(運動会、球技大会、マラソン参加、ボーリング大会等)開催

4.社内求心力を高める企業スポーツ支援(都市対抗野球、マラソン、ゴルフ等)

5.社内クラブ活動

6. 職場横断的な社員旅行

7.同期・同年入社社員会、県人会、誕生会、

8. 作品、成果物展示発表会

この他にも、まだまだ施策はありますが
こうした取組は、一見、仕事の生産性を直接上げるものではありません。
然し、組織を構成している「人」の潜在力を発揮させる「触媒」となり、結果、組織力の向上に繋がります。

新総務考 その14 企業文化創造に貢献する経営総務

社風は企業文化を創る源であり、企業文化は企業価値を向上させる基盤となるものです。

企業の存在価値は、社会に貢献し、全てのステークホルダーの利益と幸福度を満たし、結果、人類の発展と進化に資する価値創造する事にあります。 企業経営には、仕事のサイクルを上手に回していくことを考えるだけではなく、企業風土や企業文化といった目に見えないもの、仕事や人を取り巻く環境や空気のようなものをもマネジメントする事が求められます。

経営者は誰しも、風通しの良い組織、上下の分け隔てない自由闊達な組織、失敗を恐れずに挑戦する組織、そして成果を出せる組織創りを目指します。 然し乍ら、こうした組織を創る「企業文化創造経営」をいかに推し進めてゆくかは中々の難題です。

日本の会社には、創業者のスピリッツが企業文化として色濃く反映して居る会社もあれば、若く勢いがある新興会社の中には、怖さ知らずで旺盛なチャレンジ精神に溢れている社風(文化とはなっていない雰囲気のレベル)の会社もあります。 また、100年以上の歴史を重ねてきた会社には、伝統と守りの企業文化が根付いています。

企業文化には、それぞれの会社のDNAが埋め込まれており、歴史ある企業では長年の社歴が創りだす社魂が堆積しています。 コアなDNAや社魂は時代が変われども受継がれてゆくべきものもありますが、全てが普遍的なものではないはずです。

時代と共に環境変化に合わせ変質しなければ企業は生き残れません。 企業文化には、その組織で働く人々の価値観や仕事観、さらには社会観や人間観へも影響を及ぼすパワーがあります。 戦略的に組織風土を変質させ、時代に適合した文化を組織に根付かす事で会社力を最大化する「企業文化創造経営」の視点はあまり議論される機会がありませんが、私は、この「企業文化創造経営」は、インナーブランディングマネジメントの一環として、総務FM部門がイニシアチブを取るべき経営領域だと思っています。 総務FM部門は「企業文化創造経営」の実行支援ができる機能部でもあるのです。

新総務考 その15 コミュニケーションマネジメント

「コミュニケーション」が組織力を、そして会社力をいかに高めてゆけるかについて考えてみたいと思います。

「コミュニケーション」とは人間の間で行われる知覚・感情・思考の伝達行為です。この伝達行為をベースに、人と人の間で「意志の疎通」が行われたり「心や気持ちの通い合い」が行われたり「相互に理解し合う」ことでコミュニケーションが成立します。

組織社会では、「コミュニケーション」により 人の感情、意思、思考、知識など様々な情報が伝えられ、受け止められながら創造的知識生産活動が行われます。

また「コミュニケーション」の機能は情動的であり、相手の意識や行動を制御すると共に「共感」を呼び起こす行為でもあります。

さらに、「コミュニケーション」は、言葉による会話や対話に、表情、身振り手振りといった非言語メッセージが統合されて成立するリアル空間でのものと、バーチャル空間(メール、チャット、TV電話等ICTツールを媒介した場)を通じて成立するものがあります。
最近の技術進歩でバーチャルとリアルのボーダーが無くなりつつありますが…… でも、息づかいや香りを感じられるのはリアルだけです!
私は、こうしたコミュニケーションの特性を十分に認識した上で、組織を構成する人の気持ちや想いに焦点を当てた総務FMの実践、つまりインナーブランディングをベースにした「場」の創造が、組織を変革し会社力を高めるきっかけになると思っています。
コミュニケーションを活性化し活力ある「場」を創ってゆくには、集団の中での人々の意識や行動心理を理解する事が大切です。

そして、組織規模に即した総務FM戦術、つまりワーカー数とワークスペースの調和と場の演出を考えなくてはなりません。

社員・役職員全てがお互いに顔と名前が判る規模の会社と、社員が何千人、何万人もいて、オフィス拠点が国内外に多数展開している組織のコミュニケーション戦略は異なります。

オフィス内で働く社員・役職員全てがお互いの顔と名前が認識できる規模(100名程度の人員数)では、社員同士が仲間、同僚意識を持ちながら仕事上のコミュニケーションは比較的スムーズに行われます。
この規模の組織では、リアルコミュニケーションを主体としたコミュニケーションマネジメントが可能です。
社長主催の朝会やタウンホールミーティング、日々の業務の打合せは、知った者同士で効率的なテーブルワークが有効に機能します。
「場」の一要素たるワークプレイスは社員が自律的に創る事ができます。
一方、組織が一定規模以上になると、お互いの名前や顔を直接認識出来なくなります。
同じ組織やチームで働いていても、話した事もない人が増えてきます。

この段階にある組織のコミュニケーションマネジメントには、物理ワークプレイス内のリアルコミュニケーション環境と、ICTツールを活用したバーチャルコミュニケーション環境を融合した場創りが求められます。

また、組織規模に関係なく、働く人々が交わりを持ち、共通話題で盛り上がり、共感し、同じ会社で働く仲間としての喜びと達成感を分かち合える環境創りを心掛けなくてはなりません。

然し乍ら、其々の仕事を持つ社員・役職員は、自分の仕事に関係無いと思っている事や、興味、関心の無いものには意識が向かいません。
また、話した事が無い人との会話は共通話題がなければ成立しません。
総務FMミッションは、価値観の異なる人の行動心理と人間関係の状態を観察して、担当業務が異なり日頃交わりの少ない乃至無い人達の相互コミュニケーション誘発の仕掛けを「場」に創り出す事にあります。
有効な仕掛けの一つがITCツールの活用と運用の洗練化です。
ユニファイド・コミュニケーション(統合的なコミュニケーション通称UC)の仕掛けを構築して、リアルコミュニケーションを補完する取組です。

デジタルネイティブ世代は、ITリテラシーが高く、意識や感情の伝達をチャット、メール、LINEなどのツールを使いこなしてコミュニケーションをしています。

彼らは、業務でもプライベートでもバーチャルコミュニケーションが当たり前になっており、どの組織でもリアルコミュニケーションは面倒と思う人も少なからず居るのではないでしょうか。

常識的な感覚では、バーチャルよりリアルコミュニケーションの方が望ましいコミュニケーション手段、と思われていると思います。

リアル対面会話では、場の雰囲気、空気感、臨場感や相手の表情、息遣いなどノンバーバルコミュニケーションを含めたコミュニケーションができます。

相手への気遣いや、ホスピタリティを伝える表情(笑顔や目線)や、さりげないオーラを相手に感じて貰えるのもリアルコミュニケーションの強みです。

然し乍ら、組織が大きくなればなるほどリアルコミュニケーションが出来る機会が減ってきます。
忙しい日々の中、一々話し合う時間を取ることはできません。
メールで一斉連絡しておけば仕事効率も高まりますが、反面、無機質なコミュニケーション場になる懸念もあります。仕事でもプライベートでも、相手の心に届くコミュニケーションとは、リアルコミュニケーションとバーチャルコミュニケーションをバランス良く使い分ける事です。

このバランスのとれた使い分けを実践させてゆく取組がコミュニケーションマネジメントです。
総務FM部門とIT部門が協力体制を築いて取組むべき課題です。

新総務考 その16 「場」つくりの作法

「場の創造」は総務FMにとって最重要ミッションです。
組織に於ける「場」とは、オフィス空間・スペース、ITC基盤、規律そして人々の想いにより創られるコミュニテイです。
「場」には人々の知が集積しており、価値創造やイノベーションを誘発する潜在力を持っています。

「場」構築の良否は、知識社会に於ける企業価値を左右させる…と言っても過言ではありません。

総務FM部門が「場創り」に貢献してゆく為には、「場の作法」を理解する事が必要です。
また、経営学を軸とした体系的理論を学び、「人間」を知ることが大切です。

知識創造企業での総務FM業務の在り方を考える上で、知識創造のプロセスや「場」の構築に役立つベース理論をご紹介します。
「知識創造の方法論」-ナレッジワーカーの作法- (東洋経済新報社:野中郁次郎、紺野登 共著)

(参考)
http://www.amazon.co.jp/%E7%9F%A5%E8%AD%98%E5%89%B5%E9%80%A0%E3%81%AE%E6%96%B9%E6%B3%95%E8%AB%96%E2%80%95%E3%83%8A%E3%83%AC%E3%83%83%E3%82%B8%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%81%AE%E4%BD%9C%E6%B3%95-%E9%87%8E%E4%B8%AD-%E9%83%81%E6%AC%A1%E9%83%8E/dp/4492521364

この本で考察されている哲学、社会科学(社会学や現象学など)を体系的に学ぶ事で、組織社会を作る「人間」を知ることができます。
以下は、この本の内容の一部です。
題して「場の作法」…つまり総務FM人が心得ておくべきリーダーシップ論であり、場の方法としての「知の作法」です。(同著p268より抜粋)

A 創発場( 共同化-暗黙知獲得共有の場)
・異端に対する感性とバランス
・経験機会に対して積極的であれ
・顧客との対話、相手になってみる
・謙虚な態度で顧客や先人、部下、
同僚から学び、本質をしっかり把握する
・見えざるものをみる
・思いの大きさやつよさは自分のあり方次第である
・シャドーイング(熟練者について回る学習法)
・材料を集める
・見ないものは信じない

B 対話場(表出化 – 暗黙知から形式知を生み出す場)
・場の構成者であり観察者
・自分が場に対して働きかける
・文脈を掴み出し、新しい現実の
モデルをを顕現させる
・視覚化し、差異をみせる
・参加者との場を創る
・概念創造の方法を利用する
(メタファー)
・視覚的言語の利用
・一方向からのみ考えるということをしない
・対象物の起源は何だったかを問う

C 体系場(連結化 – 形式知を組合せる場)
・状態を生み出すこと
・オブジェクトとしてアイデアを創るのではなく、システムとして創る
・モデルのあてはめ
・大きな構想を持ちながらも、できるところから着手
・組織を超えて動く

D 実践場(内面化-形式知を実践をつうじて身体化する場)
・過去に戻らない
・スパイラルアップ
・実行、思考の行動パターンを繰り返す
・行為、反省、超越
・つねに対案として、次善策を試みる用意
・「できない、無理だ」は言わない

これらの心得は、当たり前の事ではありますが、日常の忙しさに紛れてしまい、忘れてしまっているものもあるのではないでしょうか。

新総務考 その17 社員力と組織力

「企業力」を担う様々な「力」を総務視点で考えてみます。
「社員力」「組織力」を高める秘訣とは!
1.社員力

社員力の原動力は「働き甲斐」や「働く喜び」です。

社員力を高めるには、ワーカーひとり一人の自立意識を高めると共に「知性」を磨き「情熱」を持ち続けられる社会環境=「場」を整える事が必要です。

総務FM部門は、社員力を高める為に「場」という社会環境創りに尽力すると共に、組織風土の変革に貢献してゆくミッションを担っています。
自己に厳しく、倫理感を持ち、前向きに明るく生きる覚悟と他者への思いやりを忘れずに楽しんで働く!
そうすれば、自ずと人間力が高まり、組織における個の総体力が高まります。
社員力を高める秘訣には二つのポイントがあると思います。

まず第一に、社員一人ひとりの潜在力を顕現化させる「場」のパワーを再認識する事です。

社員が自発的に、且つ喜んで働ける「場」、働く喜びが自分自身の感動を呼び起こす「場」、その感動が幸福感をもたらす「場」の力が社員の潜在を引き出し人間力をも高めます。

二つ目のポイントは、同じ組織で働く全ての人達が、相互信頼と尊敬の念を忘れず「同志」意識を感じられる「風土」を創りだす事です。

総務FM部門は、場創りのみならず、人創りを念頭に置いて、質の高い組織を、そして創造的な企業風土を創り出す使命を担っています。

2.組織力

組織力の原動力はコミュニケーション力です。
篭り切りの蛸壺型組織は、ワーカー相互の会話も少なく、場の雰囲気が閉塞してしまいます。
これでは、十分な組織知を活用する事もできず組織力はあがりません。

協働型でクロスファンクショナルな組織は、ワーカー同士の会話が活発に行われ、組織知を共有しイノベーションを誘発する機会が膨ら組織力は高まります。

組織力を強くするには、職場でのコミュニケーション機会を増やし、ワーカー相互の絆を強くし、ワイガヤ体質で情報の風通しが良い環境創りが大切です。
と同時に、ワーカーのワークスタイルの変革「チェンジワーキング」が重要なポイントとなります。
簡単に言えば、気持ちと時間にゆとりを持った働き方を実践する事です。

リフレッシュがてら、机を離れて社内を歩き回ってみましょう。
ぶらぶらウォークしていると、同期生にばったり会ったりして会話が生まれたりします。
このような行動は、サボリではありません。スモーカーが喫煙所で一服するのと同じです。
上司やチームメンバーは寛容でなければなりません。

「あいつは、何時も仕事もせずにぶらぶらしてけしからん」などとは絶対に言ってはいけません。
いっぺんに組織は硬直してしまいます。
成果を見てあげれば良いのです。

集中とリラックスのバランスを考え、周りを見ながら仕事すれば、自然にコミュニケーションが沸き起こってきます。そして組織力は高まってきます。

新総務考 その18 働き方の変革に挑む

ICTツールの進化により、組織に於ける働き方が変わってきています。

「働き方の変革」は生産性を向上させ企業価値を高める手段として、そして働く人々のワークライフバランスの改善が期待されています。
デバイス並びにソフトウェアテクノロジーの進化により、セキュリティを考慮した様々なソリューションが提唱されています。

創造的な仕事を担うナレッジワーカーにとって「何時でも、何処でも、安全に仕事が出来る環境」は、一見 便利で生産性が高められそうに思われますが、各企業の社風や文化、職場・職種特性、そして社員の社会的成熟度等 組織の「場」の温度感を考慮しながら取組むことが肝要です。

組織の「働き方変革」はどの部門が推進してゆくのがよいのでしょうか。

一般的には、ICTツールの知見がある情報システム部門がリードしている企業が多いと思われますが、私は、組織の「場」創りをプロデュースする総務人事FM部門も積極的に関与すべきテーマと考えています。

現場の状況や働く人々の想いを熟知している総務FM部門、制度面(評価、コンプライアンス等)を管掌している人事部門、そしてICTテクノロジー&ソリューションの知見を持つ情報システム部門が三位一体となり取組んでゆくことが必要です。

その為には、総務FM部門が各部門間相互の知見共有を進める体制や意識改革を促進させる「場」(機会)を創り、更に、ICTテクノロジー&ソリューションの動向や人事制度の知見を高め、クロスファンクショナルコーディネーター兼「場」のプロデューサーとして貢献してゆくべきと考えています。

新総務考 その19 「場」創りに於けるアナログの重要性

ICTの進化と普及に伴い、世の中至る所で人々の生活環境がデジタル化されてきています。

私達は、何処に居ても情報を収集したり共有でき、また、ネットワークコミュニティを通じ、人と人との繋がりが便利になったように感じる事もあります。

インターネットの功績は素晴らしいと思いますが、使う側の意識がしっかりしていないと、社会、組織、そして人格へ影響を及ぼす懸念もあります。

今や、情報や知識を得るには、スマホ端末でWikipediaやデジタル新聞・書籍等にアクセスすれば、かなりの量の情報が集められますし、論文やレポートもコピペで簡単に作成出来ます。

図書館に通い、文献を漁り、思考しながら書いてはまた推敲を繰り返す作業を行わずとも、そこそこの論文やレポートが作れる時代に育ったウェブ(デジタル)ネイティブの世代は、物心がついた時から斯かるデジタル生活が日常であり、知的創造力を育むには決して良い面ばかりではありません。

企業等組織内で働く多くのウェブネイティブ達も、無意識的にデジタル万能意識を持ち、アナログに対し(時代遅れ的な) 一種の偏見を持ったり 蔑視する傾向があります。

人間本来の考える力や閃き力を養うには、現実世界で人と人との出会いを創りだし、思考への刺激を与えられるアナログ的な取り組みが重要です。

ホワイトボードにスケジュール一覧を貼ってチーム共有したり、参考図書を集めたプチライブラリを作るとか….アナログカルチャーとデジタルカルチャーのバランスが取れた知的場創りが総務FM部門に求められています。

新総務考 その20 総務FM人が学ぶべき「人間科学」の探求

総務FM仕事のベースは「人間」を知る事。その為には、アカデミックな知識の整理をすることが有用です。
総務FM視点での人間科学の探求と「場」創りへの応用 を探ります。

基礎編1. 心理学
総務FMの仕事に従事している総務FM人や人事部門にとって「人間を知る」努力は欠かせません。

人間を探求する学問には、哲学、心理学、社会学、人類学、比較文化学といった分野の学問と、こうした学問分野を中心としながら、分野を横断するような学際的視点で、様々な側面から「人間」について科学的・総合的に研究を進める人間科学*の分野があります。
*「人間」を研究するために、いろいろな学問分野が結びついてできた学問

企業実務家たる総務FM人は、其々の学術分野の専門的な理論を全て理解する事はできませんが、こうした分野のアカデミカルエッセンスを体系的に知っておく事が不可欠です。
ゲームクリエイターを中心にとしたナレッジワーカーの行動心理や思考法、感性の傾向を知り、知識創造型の企業の生産性向上を実現する「場」の仕掛け創りに不可欠な基礎学問「心理学」の一代表的な理論を紹介します。

1.ハーズバーグの二要因理論
(動機付け・衛生理論)
アメリカの臨床心理学者、フレデリック・ハーズバーグが提唱した仕事の満足あるいは不満足を引き起こす要因に関する理論です。 人間の仕事における「満足」に関わる要因(動機付け要因)と「不満足」に関わる要因(衛生要因)は別のものであるとする考え方。職場環境要素は衛生要因とされています。
総務FMは衛生要因と思われますが、私は、総務FMは、動機付け要因を支える重要な要素と考えています。

2.心理学や社会学の観点からアブラハム・マズローの5段階欲求

アメリカの心理学者であるマズローは、人間の欲求を段階的にピラミッドに見立て、人間の欲求は以下の順で次の欲求に移行してゆくと言う説です。

1 生理的欲求
2 安全欲求
3 親和欲求
4 承認欲求
5 自己実現欲求
6 自己超越欲求

満足度調査を行う場合の設問にも、こうした考え方を踏まえた対応が大切です。

3. ポジティブ心理学のミハイ・チクセントミハイのフロー概念

「幸福」、「創造性」、「主観的な幸福状態」、「楽しみ」の研究、いわゆるポジティブ心理学の第一人者で、著書『楽しみの社会学』でフローの概念を提唱したハンガリー出身のアメリカ人心理学者。
グループフロー概念は「場」の活性化に有用な概念です。

(以下Wikipediaより抜粋)
チクセントミハイは、集団が全体として作用して、ひとりひとりのメンバーがフローに達するようないくつかの道筋を示した。このような集団の特徴には、以下のものが含まれる。

・創造的空間配置:椅子、コルクボード、図表。机は置かない。そうすれば立って動きながらの活動が主体となる。

・活動の場のデザイン:情報を書き込む図表、流れ図、企画の概要、熱狂(ここでは熱狂も場所を占める)、安全な場所(ここでは他に何が考えられるかを誰でも言うことができる)、結果掲示板、オープントピック

・並行した、組織だった作業
・グループの集中を目標に定める
・存在しているもの(原型)の発達
・視覚化による効率の増加
・参加者の意見の違いはチャンス

人は常時フロー状態を維持できませんが、ナレッジワーカーが、フロー状態になるきっかけを創りは、総務FMの領域です。

基礎編2. 社会学

社会科学は、自然科学、人文科学と並列するジャンルでありWikipediaには「自然と対比された社会についての科学的な認識活動及びその活動によって生み出された知識の体系である。人間の社会の様々な面を科学的に探求する学術分野(社会学、政治学、行政学、経済学、経営学、法学等)の総体である」(カッコ内は追記) とあります。

中でも社会学は、人間社会の現象を理論的かつ体系的に理解する方法論として有用です。企業は人の集団ですから、人間社会の現象を認識することにより、FMブランディング推進の知識基盤を広げるこてができます。

「人間を知る」には、人間の意図、動機や価値観など、外部からは見えないもの、謂わば「見えざるもの」を見える化

し、創り出してゆく方法論を知る事が大切です。

私が移転プロジェクトを始め、総務FM実践で取組んできたことは、心理学の勉強と、組織社会を構成する「人間」の本質を探求する哲学や、哲学との接点にあるフッサールの現象学を学び、ホワイトのフィールドワーク作法にヒントを得、人類学、社会学視点でクリエイター達が最高のパフォーマンスを出すにはいかなる「場」を創り出すべきかの方法論を勉強しています。(まだまだ浅学ですが…)
自分が直面している課題や問題を頭に思い浮かべながら、理論の勉強をすると、不思議なくらい”なるほど”と思う事に出会います。学生時代の試験勉強とは違い、実践に役立つ学問は、仕事の成果にも繋がります。

基礎編3. 自然科学・応用科学

総務FMと自然科学系…文系インハウスファシリティマネジャーにとっては、あまりピンとこないかもしれませんが、総務FMの基盤を担う学問です。

自然科学系には数学、統計学、情報理論、システム理論などが含まれます。
自然科学の代表的な分野は、物理、化学、医学、生物学など。
そして、応用科学領域には、工学、農学、建築学、図書館情報学、芸術・デザインなどが含まれます。

総務FM業務に関連する分野は多岐に亘りますが、私が考える、文系インハウスファシリティマネジャーも関心を持つべき領域は以下の通りです。

・土木・建築、デザイン系
・工学(経営、知識、熱等)
・インフォマティクス情報学、図書館情報学(情報検索他)
・音響学(聴覚心理学等)
・医学(人間工学、産業医学、心身医学)

この他にも総務FMに関係する分野は沢山ありますが、要は、人、物、情報に関する学術研究の概要と最新情報を常に意識しておく事が大切です。

どんなに優秀なファシリティマネジャーでも、全ての領域に精通しているスーパーマンは一人もいません。
総務ファシリティマネジャーは、ある意味、オーケストラのコンダクターとして、其々の専門分野を極めている人やチーム乃至企業等を「指揮」しながら成果をあげる役割を担っています。

指揮者たる物は、様々な専門分野の一通りの概要とポイントを理解しておく事が不可欠です。
私が今関心を持っているテーマは、脳科学とインフォマティクスです。
脳科学は、心理学と合わせて「人」を知る情報やヒントがあります。
例えば、「ハーマンモデル」(ノーベル賞科学者ロジャー・スペリーなどの最新の大脳生理学の研究成果をもとにGEの能力開発センター所長であったネッド・ハーマンが、ビジネス環境のために開発した、人の「利き脳」を知るための手法)による組織マネジメントのアプローチは、なかなか興味深いものがあります。

社員の知的能力特性を、脳生理学の視点で認識し、組織の知的生産力のポートフォリオを最適化する手法です。
「場」創りに、心理学的な視点と合わせて活用してゆくのも有用かもしれません。
ともあれ、自分分析をして見るのは面白いです!

また、インフォマティクスは、効率的な情報資産の管理と二次利用の円滑化に役立ちます。

プロフェッショナル総務FM人となるには、総務FMの実学として、人間科学を学び、その知識基盤に経営学、経済学、会計学、法学…等の知識を積み重ねてゆくことが求められます。

新総務考  その21 総務FM業務の国際化とダイバーシティへの対応
 

日本企業のグローバル化が進展し、日本国内で働く外国人の割合も増えています。
「総務部門の国際化とダイバーシティへの対応」は喫緊の課題でありチャレンジです。

当社グループでは、20カ国以上の多国籍社員が就業しており、総務FMサービスも国際化してゆく事が求められています。

多国籍社員が働く組織では、総務FM部門としても、各社員の出身地の文化、風習、習慣、宗教、価値観や仕事感などを考慮したダイバーシティマネジメントが必要となります。

例えば、宗教上の理由で食べられる食材に制約があるので、社食メニューに所謂、ハラルフードやベジタリアンプレートなどを用意したり、サラート(イスラム教の礼拝)の為に礼拝堂を会社内に設けている企業もあります。
FM部門は、社食運営や施設管理の面でも多様化対応が求められる時代になっているのです。

また、意思疎通には英語でのコミュニケーションも普通となり(楽天やユニクロは英語を公用語としています…とは言え 全ての企業が同じ様にはいきませんが!) 「総務人」も日々研鑽を積みながら、常識枠を超えた意識変革に挑戦する事が肝要です。

しかしながら、国内企業の総務部門では、そう簡単に変革出来るものでもありません。
一方、外資系のFM部門のFM’erは、業務のベースが既にグローバル化されており、日本企業の総務部員とはダイバーシティ環境での仕事経験に差があります。

「総務」と「FM」の特徴の一つですが、日系企業の総務部長はこの実情を認識しながら、時間軸を見据え、「総務」スタッフの世界観を広げてゆく機会創りに「FM」と交流機会を増やす事も重要な職務となります。
国際企業とのネットワーキングでFM’er人脈を作り世界を知る事も有効でしょう。
また、異文化コミュニケーション機会に積極的に参加したり、海外からのFMインターンシップを受け入れたり、FM専門学部のある海外大学に留学するのも良い経験になります。

企業経営でダイバーシティ&インクルージョン マネジメントは、今後、益々重要になります。総務部門はこうした時代の流れに対応してゆかねばなりません。

新総務考 その22 「場」の価値を高める演出

「場」の価値は、企業のブランディング戦略や人材獲得の観点で、企業経営に不可欠な無形資産的価値を持つものです。 また、労働生産性を引き上げ企業風土変革の基点となるものです。

こうした人間の感性や心理に影響力を及ぼす「場の価値」を高めてゆく「場力」の演出について「アフォーダンス」コンセプトを取り入れたアプローチを紹介します。

「場力」を最大化するには、オフィス環境が、そこで働いている人々にどのように作用するかの多面的考察が必要です。

環境が人(動物)に与える影響を研究した米国の行動・知覚心理学者 ジェームス.J.ギブソンが提唱したコンセプト「アフォーダンス」

「アフォーダンス」とは、動物(有機体)に対する「刺激」という従来の知覚心理学の概念とは異なり、環境に実在する動物(有機体)がその生活する環境を探索することによって獲得することができる意味/価値であると定義される。
-Wikipediaより抜粋-

アフォーダンスは、工業デザイン分野で紹介される事(ドアノブのデザイン等)が多いのですが、私は、この『生活する環境を探索することによって獲得することができる意味/価値』の演出をオフィス環境「場」創りに応用しています。

「場」の主要素たるオフィス空間の広さ、照明、色彩、温湿度、香り、雑音といった人の五感に関わるものに加え、家具・什器等の質感、そして、行動特性に合ったスペースデザインと「心の豊さ」を感じられる環境演出にこだわり、ナレッジワーカーの知的生産性を刺激する取組を行なっています。

「場」のチカラは、なかなか認識し難いものですが、経営の根幹をなす人の想いや やる気を高めてゆくチカラを有しています。

組織の「場力」を高め、「場」の付加価値創造と企業の業績向上に貢献してゆくかが総務FM部門の重要なミッションの一つですが、留意しなくてはならない問題もあります。

それは、経営が「場の価値」を「場のコスト」として捉えてしまうと、本質を見誤り単なる無駄使いと認識されてしまう事です。

「場の価値」は、価値創造の原動力である知識労働者の生産性向上投資、と経営に認識しもらう努力も欠かせません。

新総務考 その23 知識経営を支える総務FM

「知識経営」とは、知識にもとづく経営、つまり資源や有形資産ではなく無形の知識を企業活動に於ける価値創造の源泉とする考え方で、ナレッジ・マネジメントと呼ばれる事もあります。

企業活動で価値を創造してゆくには、組織に存在している有形・無形の知識資産を、適時適所において活用できる「場」が不可欠です。
「場」は時間・空間・人間の「三間」関係から構成され、そこでは知識が共有・創造・蓄積、活用されます。
知識資産活用のプロセスと知識創造のプロセスを結びつけ連動させるための媒介プラットホームが「場」であり、「場」の構築は総務部門の重要ミッションです。総務部門が知識経営を支える理由がここにあります。

組織には、データベース、情報(技術、営業所機密、個人…等諸情報) 、知識(個人知、組織知、企業知、産業知、…人類知)、知恵、知心、アイディア、発想、想い….
こうした様々な「ナレッジ」が存在しています。

誰でも検索できる形式知化されたナレッジ資産もあれば、暗黙知として個人の頭の中にあるナレッジ資産もあります。
こうした”知の空間”をハイパーリンクさせて、企業の知的生産性を向上させる「場」の創造・構築の巧拙が企業力を左右させます。

総務FM部門は、社内知(社員個々の暗黙知の集合)を見える化し、随所に、知の交流が出来る空間とデバイスを用意したオフィス機能を創り上げ、「場」の価値を最大化する事が重要なゴールの一つです。

例えば、成果発表会や技術研修会、各種勉強会、KPI報告会等を適時に実施開催しそれらの情報や知識を共有、蓄積出来る場創りです。

また、ICT技術を駆使ししたコーポレートポータル(CP)とユニファイドコミュニケーション(UC)ツールの最大活用も重要テーマです。
形式知化された知的資産の共有と、想いの交流には、安全性や運営方法を周到に構築する事を前提にSNS等の機能を導入する事も有用だと思います。

新総務考 その24 知識社会での働き方変革と意識革命

創造的な仕事は0→1を創りだす仕事。
改革力は1→1.5に変革する力。
改革とは、既存概念の見方や解釈を見直し、更なる価値を生み出す行為。
しかし、改革にも創造的な思考は必要。改革が創造的破壊の域に入ると、それはイノベーションの世界に。
前者をラディカルイノベーション、後者をインクリメンタルイノベーションとも呼ばれます。

創造と改革は、知のスパイラルを形成しながら知識社会を支えています。
これからの日本には、クリエイティブなラディカルイノベーションが求められる時代になります。

自由でのびのびとした発想力を持って、創造性豊かな世界を創り出す取組はまだまだ始まったばかりです。

ナレッジワーカー 一人ひとりが持つ潜在能力を、いかに顕在化させる仕組みを創るかが社会の課題です。

日本には素晴らしい知恵がありますが、社会の仕組みや構造が知恵の顕在化の障害になっている面も否定できません。これからの時代、日本組織の常識や固定観念、そして前列踏襲主義や現状を変える事への抵抗感、といった組織風土を変革してゆく事が不可欠です。

リーダーたる方々の意識改革も必要でしょう。しかし、最も重要な事は、現場で働く我々一人ひとりの意識改革であり働き方の変革こそが風土改革に繋がります。

総務FM部門は、日々、現場力を向上させるチェンジワーキングの舞台創りと仕掛け創りに取組んでいかねばなりません。

新総務考 その25 コミュニケーションデザイン

組織内における戦略的なコミュニケーションデザインは重要です。

一般的には、ITCツールを使う事から情報システム部門が主導する場合が多いと思いますが、「いかに使うか」を考えるのは、コミュニケーション場創りを担う総務部門が主導すべきと思っています。
その為には、総務部門が主体的に情報を集め、情報システム部門と連携しながら各システムの特徴・特性を知っておく事が必要です。

メールより気軽に、グループウェアほど敷居が高くない、第三のビジネスコミュニケーションツールとして、SNSを社内コミュニケーション促進策の一つとして活用する企業が増えています。
今日は社内SNSにスポットを当ててみます。

皆さんもFacebook等で体験できるコミュニケーションネットワークは、ご無沙汰している旧知の友達や仲間との距離を縮め、新しい「友達の輪」を加速度的に広げる力を感じられた経験があると思います。

一方で、開かれたSNSサービスは、個人情報の管理を始めとした情報セキュリティの課題も数多く存在します。

業務でFacebook等のオープンSNSサービスを使う事は出来ませんが、社内イントラネットでクローズド(社内)SNSを構築すれば、Facebookと同様の感覚でコミュニケーション活性化施策を有効に進める事でできます。

既にサービス提供されている、社内限定での利用が可能なSNSサービスは以下が代表的なものです。

1.Chatter(チャター) by salesforce.com
2.Yammer(ヤマー) by Microsoft
3.TalkNote by トークノート
4.ChitChat by Blayn
5.Co-Work(コワーク) by GaiaX
6.Connect(コネクト) by Beat
7.Zyncro(ジンクロ) by オーシャンブリッジ
8. IBM Connections v5.0. by IBM

各サービスには一長一短があり、またコスト面での検討も必要であることから、これがベストと判断するのは難しいところです。

組織のたこつぼ化、縦割り組織、部門間の壁….これら組織の弊害となる状態の根幹にある問題は、社員同士の相互協力の不足と情報共有の欠如が原因です。

社内SNSを導入する事で、組織内の暗黙知を形式知に変換したり、チームビルドに役立てたり、社員相互の情報共有を促進させたりする事が可能になり、結果、活力ある組織に変わってゆくことが期待できます。

但し、このサービスを有効に運用するには、システムの運営管理やコミュニティ内の秩序維持と円滑な利用支援を行うファシリテーターを置く事が不可欠です。

ファシリテーターは、ナレッジ・プロデューサーの役割をも担う重要な機能ですが、問題は、誰がこの役割を果たすのかが議論になる事が多いと思います。

コミュニケーション場創りと運営維持管理の組織デザインを行なう仕事が「コミュニケーションデザイン」です。
総務FM部門のミッションではないでしょうか。

新総務考  その26  ダイバーシティ & インクルージョン

ダイバーシティマネジメントについて考えてみたいと思います。

1.女性の活躍場

企業内の女性管理職比率を上げてゆく取組が進められています。

「男女雇用機会均等法」が1986年4月に施行され、28年が経ちます。

所謂、総合職の幹部候補として入社した一期生の中には、既に役員になっている方もいるでしょう。
然し乍ら、まだまだ女性役員、管理職の数は少ないのが現状です。

1997年の全面改正を経て、2007年に再改正されて以来、経営者意識や職場の理解は進んでいるように見えます。
然し乍ら、現場ではまだまだ多くの問題が内在しているのが実態です。

2007年の改正時には、表面上は差別に見えない慣行や基準が、実際には一方の性に不利益となる「間接差別」を禁止し、妊娠や出産などを理由とする退職強要や職種・配置転換などの不利益な扱いの禁止、さらに女性だけなく、男性へのセクハラ防止対策を企業へ義務づけられたものの、依然として組織内では払拭できていないのが実情です。 この原因は、職場の意識、本音と建前の差に問題があるのではないでしょうか。

日本は依然として男性社会の色彩が濃く、男性管理者の中には、出産育児といった女性社員のライフステージに敬意を払い、また理解したふりをしながら、腹の底では「この忙しい時期に…だから女性社員は困るんだよな~」と毒づく輩も少なからず居ます。

経営側も、法令遵守を意識し、女性に「優しい制度」をつくり女性を特別扱いして延命するケースもあるように思われます。産休・育休制度は整備されているものの、権利を行使して休みを取って復職してみると、元の職場や希望先には配属されず、「時短勤務なんだから仕方ない…」と諦めざるを得ない、といった事例は枚挙にはいとまがありません。

女性を特別扱いしなくても普通に働けるよう、働き方全体、残業、時間当たりの生産性、評価といった働き方の根幹から改革することが先決です。

このテーマは、全ての社員の意識改革、言い換えれば会社の風土を変えてゆく事が必要なのです。

女性の登用と活躍の場があれば組織は変わってきます。
自発的に助けあい、理解し協力し合う雰囲気を部門、チーム単位で積み重ねてゆく事が出来てきるようになります。

これからは、女性マネジャーたちが自らインナーブランディング、人間関係を考慮した場の創造、ファシリティマネジメント手法に女性の感性と視点を取り入れた組織風土改革にチャレンジしてゆけば、女性が働き易く、また働き甲斐のある職場となり、必ずや会社力は向上すると確信しています。

2.若手の活躍場
日本の組織では、依然として年功序列制(というより正確には年序列制と言った方が良いかもしれません)が根強く残っています。

年長者や上長の立場からは、後輩や部下に対して「あいつはまだ若い。まだまだだな…」的な発言をよく耳にします。

若手の才能や能力が先輩や上長より優れていても、発揮できるチャンスがないまま「経験年数」を積み上げる風土です。

日本では「就社」の場合、新卒入社で見習いから始め、大規模組織では3-5年で異動を経験しながら、社会人として、また仕事人として成長し10年位で管理職となってゆくのが一般的ですから、若手の活躍場はかなり限定されています。

一方、若手で挑戦意欲がある人は「起業」して活躍している人がいます。
若者には潜在能力が秘められています。就社した若手に活躍場を与え、会社力を高めるマネジメントこそダイバーシティインクルージョンです。